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【次世代コンピュータ】X-Computing

更新日:7月22日

はじめに

 

皆様のお手元にあるコンピュータはどんな仕組みで動いているだろうか。私たちが日常で利用しているほとんどのコンピュータが、電子式の演算論理装置(CPU)、制御装置、主記憶装置(メモリ)、入力装置、出力装置から構成され、かつ2進法を採用しているものであり、「古典コンピュータ」または「ノイマン型コンピュータ」とも呼ばれる。


Intel社の創業者であるゴードン・ムーア氏によって提唱された「ムーアの法則」に従って、1970年代より指数関数的に大規模集積回路(LSI IC)に実装されたトランジスタ数が増大・ゲート長は減少していき、古典コンピュータは目まぐるしく発展を遂げてきた。(Fig. 1)

しかし、2010年代後半に差し掛かるとそのムーアの法則がスローダウンし始め、現在の主流であるエキシマレーザーによる露光技術を用いたゲート長10nmまでの微細化は実用化されているが、5nm以下では量子効果が顕在化する領域になり、何か大きな技術のブレークスルーが無ければ実現不可能とされている。そのため、人類は古典コンピュータのこれら制約を受けない別の形でコンピュータを発展させる必要がでてきた。


Figure 1. LSI IC(大規模集積回路)のゲート長の発展*1

次世代コンピュータ X-Computing時代の幕開け

 

では、古典コンピュータと比較して次世代のコンピュータにはどのようなものがあるだろうか。古典コンピュータはデジタル回路によって構成されており、全て0と1で表現できる。裏を返せばある問題に対して、計算しなければならない過程や要素を全て把握してアルゴリズムを構成する必要がある。また、前述したようなデジタル回路の制約もあり現実的な時間での計算量にも限界がある。例えば巡回セールスマン問題のような組合せ最適化問題では、一見簡単に解けそうな30都市ともなると、スーパーコンピューター「京」でも1000万年かかる計算となってしまう。


これらデジタルコンピュータから、次世代のコンピュータ(X-Computing)は自然現象を利用したコンピュータ(ナチュラルコンピューティング)へと変遷している。


理化学研究所のアメーバ生物である粘菌を用いた解探索コンピュータ(Fig. 2)がまさにナチュラルコンピュータといえる*2


Figure 2. 巡回セールスマン問題の解を探索する粘菌コンピュータ(理化学研究所)*4

また、北海道大学とAmoeba Energyの共同研究では、真性粘菌の探索行動から着想を得たアメーバコアを搭載したコンピュータを開発し、同じく「巡回セールスマン問題」を解くことに成功したのである*3。これはアメーバの持つ探索能力を利用した方法であり、デジタルコンピュータの計算方法とは全く異なり自然現象を利用しているのだ。


現代のAIやIoTの進化とともに発生する組合せ爆発や問題の複雑性等に対応すべく、ナチュラルコンピュータでは計算ではなく「自然現象に任せて観測する」ことで結果を得るのだ。


我々リサーチセンターでは、これら古典コンピュータと比較し「ナチュラルコンピュータ」や「非ノイマン型コンピュータ」と呼ばれる次世代コンピュータをX-Computingと称し、動向をキャッチしながら社会の現実的な問題に応用できないか調査していく。(Fig. 3)


Figure 3. ノイマン型コンピュータと非ノイマン型コンピュータ*5

X-Computing一覧

 

以下、我々が着目しているX-Computingについて列挙する。

・量子コンピュータ Quantum Computing
・ニューモルフィックコンピュータ Neuromorphic Computing
・リザバーコンピュータ Reservoir Computing
・バイオコンピュータ Bio Computing
	DNAコンピュータ DNA Computing
	粘菌コンピュータ Slime Mold Computing
・光コンピュータ Optical Computing

これら詳細については随時別記事にて紹介する。


注釈

 
  1. Anthony, S. 7nm, 5nm, 3nm: The new materials and transistors that will take us to the limits of Moore’s law - ExtremeTech. ExtremeTech https://www.extremetech.com/computing/162376-7nm-5nm-3nm-the-new-materials-and-transistors-that-will-take-us-to-the-limits-of-moores-law (2013).

  2. 粘菌から着想した解探索コンピュータ | 理化学研究所. Riken.jp https://www.riken.jp/collab/ip/08028_08093/index.html (2013).

  3. Saito, K., Aono, M. & Kasai, S. Amoeba-inspired analog electronic computing system integrating resistance crossbar for solving the travelling salesman problem. Sci Rep 10, 20772 (2020). https://doi.org/10.1038/s41598-020-77617-7

  4. 拡大画像 001l | 巡回セールスマン問題を粘菌の力で解決する新型コンピュータを北大が開発. TECH+ https://news.mynavi.jp/techplus/photo/article/20201203-1553457/images/001l.jpg (2020).

  5. 平成30年度 NEDO 『 TSC Foresight 』 セミナー (第2回) 人工知能を支えるハードウェア分野 平成30年10月31日 大窪 宏明 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) 技術戦略研究センター (TSC) 電子・情報・機械システムユニット. https://www.nedo.go.jp/content/100885736.pdf

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